■ 遺言手続
◆遺言を残すことをお薦めするケース
遺言を残しておかないと、トラブルが予想されるケースです。
また、法定相続人ではない人に残したい場合は必ず遺言しておきましょう。
①先妻の子と後妻の子がいる方。
②子供がいない夫婦で配偶者にすべてを残したい方。
③内縁の妻や認知した子がいる方。
④未婚者で一人暮らしの方。
⑤相続人の中に行方不明の人がいる方。
⑥相続人がいない方。
⑦相続権のない孫や兄弟姉妹に遺産を残したい方。
⑧第三者に遺産の一部を残したい方。
⑨公益団体等に遺産の一部を寄付したい方。
⑩祭祀を承継してもらいたい方。
◆遺言の方式
※自筆証書遺言と公正証書遺言が一般的です。
①自筆証書遺言=遺言者本人が自筆で全文、日付、氏名を書き
書面に押印(拇印可)します。
◎メリット ◎デメリット
・簡単で費用がかからない。 ・決められた方式で書かないと無効。
・内容を秘密にできる ・保管に不安。見つからないこともある。
・書き換えがすぐできる。 ・執行するには家庭裁判所の「検認」が必要。
◎書くときのポイント
・必ず全文、日付、氏名は自筆で書く。
・日付は平成○年○月○日と日付まで必ず書く。
・内容ははっきりと具体的に書き、あいまいな記述にならないようにする。
・加筆、訂正する時も決められた方式でないと無効。
・鉛筆は避ける。
・押印は認印でも拇印でも認められている。
・保管は偽造や変造を防ぐため、封筒に入れて封印する。
・遺言を残していることを周囲の人に知らせておく。
②公正証書遺言=遺言者が証人の立会いのもと、公証人に遺言の趣旨を口述。
公証人がそれを筆記し、遺言者および証人は筆記が正確な
ことを確認した後、署名押印します。公証人も署名押印し
原本は公証役場に保管され、遺言者は正本を保管します。
◎メリット ◎デメリット
・遺言の無効の危険性が少ない。 ・自筆証書遺言より手続が面倒で費用がかかる。
・公証役場に原本が保管(本人が120歳ぐらいまで)
されるので紛失の心配がない。 ・内容を秘密にできないが、公証人には職務上の
・偽造や変造の心配がない 守秘義務がある。
・遺言者が公証役場に出向けない
ときは、日当等はかかるが、
自宅や病院に出張してくれる。
・家庭裁判所の検認は不要。
◎作成するときのポイント
・遺言の内容を整理しておく。
・必要書類をそろえる。(実印、印鑑証明書、戸籍謄本、住民票、不動産の登記事項証明書
固定資産税評価証明書、証人の印鑑証明書等。)
・証人は相続人になる人可能性のある人や受遺者と配偶者および直系血族などはなれない。
・作成手数料は財産の評価額と相続人や受遺者の人数によって決まる。
※どちらの方式を選ぶかは、具体的な事情によって決定され
ますのでご相談下さい。
◆遺留分制度に留意
法律では相続人に対して「遺留分」として最低限の相続分を保証しています。
たとえ遺言に「長男にすべての財産を残す」と書いてあっても、相続人が異議を
唱えれば、遺言どおりにはいかない場合もあります。
遺留分を要求するときは「遺留分減殺請求」をします。また、遺留分は
放棄することもできます
※手続費用については、こちらをご覧ください。